植物由来天然色素の構造による分類
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ポルフィリン
(Porphyrin)
植物や藻が緑色をしているのは、クロロフィル(Chlorophyll)が含まれているからです。その構造はポルフィリン環からなり、マグネシウム金属が中心にあります。金属が鉄になれば、ヘムやヘモグロビンで、血液の赤い色になります(ポルフィリンの生合成)。したがって、中心金属がその色の原因だということが分かります。しかし、金属イオンだけでは緑や赤になりませんので、外側のポルフィリン環も発色に重要であることが分かります。
窒素(N)を含んだ5員環の化合物はピロールで、それが4個-C=(ホルムアルデヒドに由来するメチン基)により環状に結合しています。
スピルリナには緑のクロロフィルと色素タンパク質が含まれています。青色のフィコシアニンや赤色のフィコエリトリンは、ポルフィリン環が開いた構造の色素が含まれています。昆布などにもこのような色素が含まれ、クロロフィルの先祖と考えられます。フィコシアニンはポルフィリンではありませんが、仲間としてここに入れておきます。
天然色素一覧:クロロフィル、スピルリナ色素
クロロフィルChlorophyll
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フィコシアニン(Phycocyanin)青色色素
フィコエリトリン(Phycoerythrin)は赤色色素
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カロテノイド(Carotenoids)
カロテノイドは、植物中で作られる黄、オレンジ、赤色の色素です。天然には600種類のカロテノイドが知られています。
カロテノイドの幹となるものはカロテン(carotenes)で、1重結合と2重結合が交互に並んだポリエン(polyene)ですが、基本の単位はイソプレンです。イソプレノイド単位が8個が結合し、中心で逆方向に結合しています。カロテンは炭化水素だけですが、酸素が含まれているものはキサントフィル(xanthophylls)です。
カロテノイドには、α-カロテン(α-carotene)、β-カロテン(β-carotene)、β-クリプトキサンチン(β-cryptoxanthin)など多くの種類がありますが、いずれも二重結合の部分(ポリエン)は同じで、両端の部分が異なっています(Q 57参照)。
これらは体の中でビタミンA(retinol)に変換されるプロビタミンAカロテノイドです。ルテイン(Lutein),ゼアキサンチン(zeaxanthin),
リコピン(またはリコペン、lycopene)はビタミンA活性を持っていません。ルテイン、ゼアキサンチンは、目のレチナやレンズに含まれ、リコピンはトマトに含まれます(Q 52参照)。
植物において、カロテノイドは光合成の段階でできる活性酸素である一重項酸素を不活性化する重要な抗酸化作用があります。特にトマトに含まれるリコピンの抗酸化作用は最も効果的ですが、人間に対しての効果は明確ではありません。
天然色素一覧:クチナシ黄色素、パーム油カロテン、トウガラシ色素、アナトー色素
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フラボノイド(Flavonoide)
フラボノイドは、ポリフェノール化合物であり,花や葉等の色素として植物界に広く分布しています。フラボノイドの基本骨格は15個の炭素原子を有し,2つのベンゼン環が3つの炭素原子で結合された1,3-ジフェニルプロパノイド骨格((E)-1,3-diphenylprop-2-en-1-one)で、フラボノイドはこの骨格を有する物質の総称です。
フラボノイドには多くの化合物がありますが、そのうちでカルコン、フラボン、フラボノール、アントシアニジニン骨格を有するものが色素として存在します。アントシアニンはアントシアニジンに糖が結合したもの(配糖体)で、よく知られている色素です。天然色素には、アントシアニン系の色素が多く、例えばシソ色素のシソニンはアントシアニン系のフラボノイドです。フラボノイド色素には多くの種類がありますので、フラボノイドのページで補足説明しています。
カカオ色素などはフラボノイドが縮合した縮合型タンニンです。構造がハッキリしていませんから、フラボノイド系として分類しています。
ウコン色素はクルクミンで、1,3-ジフェニルプロパノイド誘導体とは違いますが、生合成の出発点が同じですので、仲間としてここに入れておきます。
天然色素一覧:ベニバナ黄色素、ベニバナ赤色素、シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、エルダーベリー色素、カカオ色素、タマリンド色素、カキ色素、コウリャン色素
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サフロミン(safflomin)(ベニバナ黄色素)
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1,3-ジフェニルプロパノイド
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シソニン(シソ色素)
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アントシアニジン(糖を含まない)
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フラボノイド重合体(カカオ色素)
(縮合型タンニン)
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クルクミン(ウコン色素)
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キノイド(Quinoids)
キノン類 は、高等植物、菌類、昆虫などに存在し、生理活性作用を持っています。キノン類は、その骨格により、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノンなどに分けられますが、食用色素とし利用されるのはアントラキノンです。
天然色素一覧:コチニール色素、ラック色素、アカネ色素
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その他
植物には上の分類には含まれないような色素があります。しかし、本来植物内で合成されるものですから、合成の途中で派生したものと考えられます。ここでは、ベタレイン、モナスカス、イリドイドに分類しています。
天然色素一覧:ビートレッド、ベニコウジ黄色素、ベニコウジ色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素
ベタレイン (Betalain)
ベタレインは分子内に窒素を含む色素で、赤のベタシアニン(betacyanin)、黄色のベタキサンチン(betaxanthin)などである。
ベタシアニンは紅紫色の色素で, アントシアニンによく似た色ですが,化学構造はフラボ
ノイド系色素とは全く異なっています。 |
ベタニン(ビートレッド)
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モナスカス (Monasucus)
モナスカス色素は紅麹菌の生成する色素で、例えば、モナスシン、アンカフラビン、ルブロパンクタチン、モナスコルブリンなどが含まれます。 |
キサントモナシン(ベニコウジ黄色素)
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アンカフラビン(ベニコウジ色素)
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イリドイド (Iridoid)
クチナシ青色素、クチナシ赤色素の成分はイリドイドです。イリドイドは、モノテルペノイドラクトンで、化学的に不安定な化合物です。
(クチナシ青色素、クチナシ赤色素) |
ゲニポシド(geniposide)
クチナシの果実に含まれるイリドイド配糖体
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