赤シソや赤キャベツには、アントシアニン系の色素が含まれています。
例えば、赤シソにはシソニンが、赤キャベツにはルブロブラシンが含まれていますが、いずれもアントシアニン系色素です。シソニンやルブロブラシンの着色の基本となっているのはアントシアニジンで、これに糖(Glu)が結合しています。植物の種類により結合している糖の種類が異なり、シソニンやルブロブラシンなどになります。
酸性、中性、アルカリ性で色が変化するのは、アントシアニジンの構造がpHにより変化するためです。アントシアニン系色素は、酸性、中性、アルカリ性で下の式のような平衡にあります。
アントシアニンのpHによる平衡
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酸性では環に含まれる酸素がプラスになったアントシアニジン構造で、赤色を示します。赤色を示すのは、赤以外の光(青と緑の波長の短い光)を吸収して波長の長い赤の光を反射しているからです(下の図)。
中性になると、水中のH+が少なくなり、色素のH+が無くなります。すると、紫色の構造式の右上のベンゼン環と酸素を含んだ環との間が二重結合になり、-OHが=Oになります。二重結合の連続が長くなると、波長の長い緑の光を吸収するようになります(カロテノイド系色素を見て下さい)。緑の光を吸収すると、紫色(マゼンダ)に見えるようになります(下の図)。
アルカリ性になると、水中のH+はほとんど無くなりOH-が増えてきます。すると色素の残りのOHからH+が取れてO-になり、青色の構造式のようになります(どちらのOHから取れるかはわかりません)。こうなると、さらに長い波長の緑と赤(黄色)の光を吸収するようになり、青い色に見えるようになります(下の図)。
アントシアニンによる光の吸収と色
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赤シソや赤キャベツの煮汁は中性で、紫色の色素ですが、お酢を入れると酸性になるので、平衡が酸性側に移動して赤色の色素になります。また、アルカリ性になると、平衡はアルカリ側に移動して青色の色素に変わります。もちろん、中間では二つの色素があることになりますので、その割合に応じて色が変わります(色の混合はQ4をご覧下さい)。
水が酸性か中性かアルカリ性かを見るのにリトマス試験紙を使いますが、同じ原理です。
赤シソや赤キャベツの煮汁に食品を加えて色が変われば、その食品が酸性か中性かアルカリ性かを知ることができます。家庭でも簡単にできますね。
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