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   トマトからリコピンを抽出したいのですが、抽出のしかたがわかりません
   


 トマトの成分のほとんどは水分(94%)で、糖(4%)、繊維(2%)、ペクチン(1%)などが含まれています。赤い色はカロテノイドですが、含まれているのは微量です。カロテノイドとしては、βーカロテン(0.7 mg/100ml)とリコピン(またはリコペン、Lycopene)(8 mg/100ml)ですが、トマトの種類によっても異なります。トマトからリコピンを取り出す会社(http://www.lycopene.com)では、リコピン の多い種を栽培し、さらに発酵させてリコピン含量を多くしています。その他にもMg, Na, K, Caなどのミネラルも含まれています。
 リコピンやβーカロテンなどのカロテノイドは水には溶けずに油に溶けますので、油(有機溶媒)で抽出します。まず水分と水に溶ける成分を除き、油で抽出し、固形成分を除くと、カロテノイドが油に溶けた状態で得られます。

方法A:(含量を求める方法)
(1)トマトを計量し、粉砕する(リコピンは細胞に含まれているので)(ミキサーでいいですね)。
(2)減圧ろ過して、水でよく洗い、水分と水に溶けるものを除く。
(3)少し水を加えてどろどろしたものに酢を加えて、約pH 2.5にする。
(4)10%から20%程度のサラダオイルを加えて、ゆっくり撹拌しながら70℃で2時間加熱する。
(5)加熱をやめて、2時間程度そのままにして室温まで冷却する。
(6)減圧ろ過して固形成分を除き、水とオイルの混合物(ドレッシング)が取れます。
(7)分液して、オイル成分を取り出すと、0.15%から1.8%程度のカロテノイドが含まれたオイルが得られる。
(8)一定量のオイルを秤量し、クロロフォルムなどの溶液とし、可視スペクトルとHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で、定量する。

方法B:(リコピンを取り出す方法)
(1)トマトを計量し、粉砕して(ミキサーでも良いですね)、ろ過する。
(2)固形物に、クロロフォルム(3部)、ヘキサン(3部)、エーテル(1部)、メタノール(1部)を加えて撹拌する。
(3)ろ過して、冷却すると、多くのカロテノイドの結晶が析出する。
(4)結晶を秤量し、クロロフォルムなどの溶液とし、可視スペクトルとHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で、定量する。
(5)カラムクロマトグラフィーにより、カロテノイドからリコピンだけを単離する。

トマトに含まれるリコピンの量を知るだけでしたら、方法Aがいいでしょう。

トマトのリコピン

 

 
   
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