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    いろいろな質問(科学一般その1)
   
  水は、どうして丸くなるのですか?
 水の化学式はH2Oですが、実際はH-O-Hで、O(酸素)が上に飛び出てカギ型になっています。Oには電子が集まっていてすこしマイナスになっています。また、H(水素)は電子が無くなって少しプラスになっています。そこで、HとOは引き合って、O-H....O-H のようにつながっているのです。これを、水素結合と言います。
 水素結合は弱いのですが、たくさん集まると合計で強くなります。そのため、水は表面張力が強いのです。表面張力とは表面が引っ張り合っているということです。
 ガラス板の上に水を一滴落とすと、水とガラス、水と空気にはなんの力も働きませんが、水と水とは引き合っていますので、丸くなるのです。学校の校庭で小学生がみんな互いに手を繋いだと考えてください。丸くなるでしょう。
 ガラス板2枚を合わせて手を離すと、離れてしまいますが、2枚の間に水を少し入れると、2枚のガラスはひっつきます。水素結合の力です。
 油は、油どうしの力が弱いので(水素結合が無い)、ガラスの上に置くと丸くならず平面になってしまいます。
 
 Q-11で,虹の話がありましたが,「波長の長い赤い光は速度が速く、波長の短い青い光は速度が遅いのです」。光の速度は一定なのではないですか?相対性理論に反しませんか? 教科書書き換えないと...
 真空中での光の速度は一定です(教科書を書き換えなくてもいいです)。
でも、光が水の中に入ると、水の分子に衝突するので、速度が遅くなります。
そのために、屈折率が変わるのです。
その速度の遅くなる程度が、光の波長によって異なるのです。
したがって、青と赤では曲がる角度が違うのです。
 
 虹とオーロラ現象の発生機構の本質的な違いは何ですか?
 は地球の近くにある水滴に光が当たり屈折するためです。
 オーロラは地球よりかなり離れて存在する酸素や窒素などに、宇宙から飛んできた電子や陽子が当たり、励起された酸素や窒素から出る光です。
 地球から離れた所にある酸素や窒素に太陽の光が当たれば、レイリー散乱が起こり青く見えます。オーロラと空の青とは、光が出る粒子は同じですが、当たるのが電子や陽子であるか太陽の光であるかが違います。
 
 昔、理科の実験で、氷に寒剤(塩でした)を入れて、アイスキャンデーを作りました。なぜ氷に塩を入れると氷点下に冷えるのでしょうか…?
 このような現象を理解するのは、二つのことを理解する必要があります。
(1)氷に塩を加えると、氷が融ける。
(2)氷が融けると、温度が下がる。

(1)氷に塩を加えると、氷が融ける。
 氷は水の結晶です。結晶とは水の分子(H2O) が3次元に規則正しく並んだ状態です。
 結晶では水の分子がお互いに手をつないでいます(水素結合といいます)。
 温度が0℃より高くなると、水の分子が動きだし、手が離れてしまいますので、氷は融けて水になります。
 塩(NaCl)は水によく溶けますが、これはNa+とCl-が水の分子とくっつくからです。
 塩水を0℃に冷やすと、水分子は手をつないで結晶を作ろうとしますが、あちこちにNa+とCl-があるので、じゃまになって大きな結晶をつくる事ができません。でも-10℃ぐらいに冷やすと結晶になって氷になります。
 もちろん、結晶にはNa+とCl-が含まれています。
 すなわち、純粋な水は0℃で結晶になる(融点)が、塩水は0℃より低い温度で結晶化します(融点降下といいます)。

(2)氷が融けると、温度が下がる。
 さて、氷に塩を加えると、融点が降下し、氷は融けます。
 (1)で、0℃より高い温度に加熱すると、氷が融けるといいました。外からエネルギー(熱)を加えて、水分子の手を切って、氷を融かしたのです。今度は、塩を加えて融点を下げて水分子の手を切ったのです。手が切れた分のエネルギーは外から与えられなければなりません。そこで、融けてできた水からエネルギーが与えられます。エネルギーを取られた水は温度が下がります。

(1)と(2)がわかれば、「なぜ氷に塩を入れると氷点下に冷えるのでしょうか…?」がわかると思います。
 100℃の水、10℃の水、0℃の氷、-10℃の氷、いずれも水の分子には変わりません。違いは水の分子の持っているエネルギーの違いです。
 
 物体を熱するとどうして光が出るのですか?
 鉄板をガスコンロで加熱するとします。最初は鉄の色で光は出ていませんが、手を近づけると熱さが伝わります。これは、ガスのエネルギーが鉄板に伝わり、鉄原子が高いエネルギー状態になり、目には見えない赤外線を放出しているからです。手が熱く感じるのは、赤外線が手の水分(水分子)にエネルギーを与え、水分子が高いエネルギー状態になったからです。
 さらに加熱すると、鉄板は赤くなります。鉄原子がさらに高いエネルギーを持ち、赤外線より波長が短い(エネルギーの高い)赤い可視光線を出しているのです。

 もう少し化学的な話をします。キリヤ化学のホームページで蛍光の出る仕組みを読まれたと思います(Q16)。この場合は、光のエネルギーにより分子が高いエネルギー状態(励起状態)になり、そこから安定な状態になるときに光を出すのです。
 与えるエネルギーは光でなくても、電気エネルギー(有機ELなど)、応力(金槌でたたく)、熱エネルギー、化学反応のエネルギー(化学発光や生物発光;(Q16))でもいいのです。
 重要なことは、「発光する化合物の励起状態にぴったりあったエネルギーを与える(共鳴する)こと」です。そのエネルギーよりも高ければよいわけではありません。
 物体が加熱により発光するとすれば、そこに含まれている化合物の一つが、熱エネルギーで励起されて発光したものです。
 

   
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