酸性染料はタンパク(動物性)繊維を染める染料なのに、ナイロンに染まるのはなぜですか?ナイロンは化学繊維ですよね? |
ナイロンは化学繊維ですが、タンパク質繊維を真似て作ったものです。
構造はタンパク質と同じポリアミドで、-CO-NH-を含む一種のタンパク質です。タンパク質とポリエチレンを合わせたものと考えてください。
絹や羊毛には酸性染料が使われますが、染料の酸性の基(マイナス)がタンパク質の末端または中間のアミノ基(-NH3+)(プラス)とイオン結合で付くのです。
ナイロンは、末端にアミノ基があるので、染料はそこに結合します。 |
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たんぱく質と、ナイロンの化学式は何ですか?どの部分が、酸性繊維(酸性染料?)と結合するのですか? |
タンパク質は、アミノ酸(NH2-CHR-COOH:種類によってRが違う)が結合(縮合、H2Oが抜けた)したものです。タンパク質は、-(NH-CHR-CO)-の繰り返しですが、いろんなアミノ酸が結合した物です。Rによっては、アミノ基(-NH2)が入った物もあります(たとえば、リジン)。
酸性染料は、-COO-やSO3-などのマイナスを持っています。これが、タンパク質のリジンや末端にあるアミノ基(-NH3+になっている)にイオン的に結合します。
ナイロンは、-(NH-CH2CH2CH2CH2CH2-CO)-ですので、タンパク質と同じアミド結合(-NH-CO-)を持っています。また、末端は、-NH3+です。酸性染料は、末端の、-NH3+に結合します。ナイロンは途中に-CH2-がたくさんあるので、ポリエチレン、-(CH2-CH2)-、に似ていて水分に強いのです。ですから、ナイロンは、タンパク質とポリエチレンの合わせた性質を持っています。
ナイロンの >NH・・・O< には水素結合ができますので、鎖の間に結合ができ、強くなります。したがって、引っ張っても伸びず、繊維として適しています。 |
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酸性染料・分散染料・直接染料を1つにまとめてビニロンを染めたところ、茶色に染まったのですが、どうしてなのでしょうか。
ちなみに染料は、酸性染料(Acid Scarlet BA)、分散染料(Celliton first Yellow)、直接染料(Direct SkyBlue 6B)を用いました。 |
化学繊維のビニロン(ポリビニルアルコール、PVA、-CH2-CH(OH)-)は、セルロースと同じ構造ですので、木綿の染色に使う直接染料が使われます。
ビニロンの成分は木綿などのセルロースに似ています。イオン結合するプラスやマイナスはありませんが、水素結合する-OHがあります。セルロースが強いのは、水素結合で互いに結びついているからです。ナイロンも、-C=Oと-NH
で水素結合するので、強いのです。分子間に結合がなければ、繊維としては弱くて、使い物になりません。
直接染料はセルロースの-OHに水素結合して付くわけです。
最初は何色に染まると考えていたのでしょうか?染料を混ぜると、混色により濃い色になります。 |
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天然の染料で髪の毛を染める事ができるのでしょうか?また、脱色することはできるのでしょうか?探すとヘナという植物性染料でならそめれるらしいのですが。 |
テレビなどで、髪の毛の拡大写真を見たことがあると思います。
髪の毛を染めると、(1)染料が毛のタンパク質に付いて着色する、(2)染料がタンパク質の隙間に入り込み着色する、の二つがあります。
(1)はなかなか脱色しませんが、(2)は簡単に脱色することができます。白髪を染めるには、落ちにくい(1)の方が良いでしょうが、カラーで染めるのには、取れやすい(2)の方がよいでしょう。
天然の染料でも、合成の染料でも使用が可能です。安定性は天然の色素はよくありませんが、合成のものは一般に安定です。安全性(かぶれなど)はどちらも同じで、人により個人差があります。しかし、天然の染料はなんとなく安全なイメージがありますので、よく使われます。
髪の毛はタンパク質ですから、ウールやシルクの染色がヒントになると思います。カツラに使われているのは合成樹脂ですから、参考にはなりません。試されるときは、ウールなどで実験してみるとよいでしょう。
ヘナのような天然の染料は、古くから顔や髪の毛を染めるのに使われていたものです。アフリカや南米の人が、顔にペインティングしているのを見たことがあると思います。タンニンのようなものと考えてください。化学的な結合ができているわけではないので、脱色は可能だと思います。 |
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天然の材料で髪を明るくすることができますか? |
明るい色、暗い色、深みのある色、そうでない色などは、なかなか難しい問題です。
深みのある色は繊維などでは重要ですが、表面で全ての色を反射すると深みは出てきません。たとえば、カラスの濡れ羽色は理想の黒ですが、再現するのはむずかしいです。
微細な穴をあけ、光がそこにトラップするようにすると、反射がないので真っ黒ができます。明るい色にするには、たとえば、赤ならば赤だけを反射し、その他の色を反射しないようにします。 |
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水に染料を溶解して紙を着色しようと考えています。直接染料と塩基性染料が適している様ですが、この2つの染料の違いは何ですか?。溶解時にpHなどが関係するのでしょうか?。 |
染料(色素)には、大きく分けて4種類あると考えてください。
(1)酸性染料:-SO3Naや-COONaが付いているもので、水溶液で-COO-のマイナスの電荷になります。これは、アルカリ性(カセイソーダやアンモニア水)で溶けて、酸性(塩酸など)で不溶になります。
(2)塩基性染料:-NH3+が付いているもので、プラスの電荷になります。これは、酸性で溶けて、アルカリ性で不溶になります。
(3)直接染料:-SO3Naと-NH3Clの二つが付いていて、酸性で-NH3+のプラス、アルカリ性で-SO3-のマイナスになります。これは、酸性かアルカリ性で溶け、中性で不溶になります。インクジェットプリンターのインクに使っているものです。
(4)含金属染料:金属イオンが含まれるもので、金属塩になり不溶になります。
紙の染色には一応どれも使うことができるでしょう。染色した紙の用途が分かりませんが、最近の傾向として毒性の染料を使わないようになっています。口に入れることはなくても、もしも子どもが食べた時を考えるようです。
お勧めは、食用色素です。食用色素は(1)の酸性色素です。それと、アルミニュームを使ったレーキがあります。これは、(4)の含金属色素ですが、食用色素です。 |