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    いろいろな質問(色素その2)
    
 色素には、天然色素と合成色素の2種類があったんですけど、お互いにどう違いがあるんですか?
 色素は光と関係があり、赤の色素は赤の光を反射します。赤の色素は青と黄色を吸収する物質です。ですから、赤の色素にはいろいろとあります。
 天然色素は天然に存在する植物の花などに含まれる色素を取り出したものです。合成色素の赤は、青と黄色を吸収する物質を合成して作った物です。
 天然の色素は不安定で、どうしても技術的に純粋にするのが難しいので高価になり、化学的には純粋ではありません。その点、合成色素は安定で化学的に作りますので安価で、100%純粋にすることができる利点があります。
 天然、合成食用色素を食品に使う場合には、いろいろと考えなければなりません。食品の種類によっては色素と反応(?)して色が変わる場合があります。たとえば、梅はクエン酸が含まれていて酸性ですので、色素は酸性で赤い色素を含んだシソを使わなければなりません。酸性で色が変わる色素は使っても色が着きません。紅茶にレモンを入れると、クエン酸の酸性で色が変わるのと同じです。
 したがって、食品を着色するには、天然色素か合成色素かではなく、色素の性質を考えなければならないのです。
 
 脂溶性色素についてお伺いします。DMSOに溶解し、水に懸濁した溶液を凍結解凍または室温放置すると色素が析出します。この現象がどのような仕組みで起こるのか教えて下さい。
 脂溶性色素(水に溶けにくく油に溶けやすい色素)をDMSO((CH3)2SO、ジメチルスルオキシド、水とも油とも混ざる溶剤)に加えると、DMSO分子が色素分子に結合し、溶解します。
 これに多量の水を加えると、DMSOは水と結合し、色素に結合していたDMSOが離れます。
 DMSOが取れた色素は水に溶けないので、色素同士が会合し、析出します。DMSOは水と1:1で結合しやすいことが知られています。
 DMSO溶液を水に懸濁した瞬間は、色素は会合してないので溶解しているように見えます。この水溶液を凍結解凍(水を凍らせて徐々に溶かす)すると、徐々に色素の会合が進み色素が析出します。室温で放置しておいても、同じように徐々に色素が会合し析出します。
 
 ニンヒドリンで検出した指紋は赤紫色に反応しますが、異なる色に反応させる方法、または赤紫色に反応した指紋を違う色に変色させる方法はありませんか?
 ニンヒドリンは指紋に付いているアミノ酸と反応して赤紫色に発色します。ニンヒドリンによる色素を他の色に変えることはできません。もちろん加熱して分解して黄色にすることはできますが。
 異なる色にするためには、アミノ酸と反応する別の試薬を使う必要があります。ニンヒドリン以外の呈色反応としては、2,4-ジニトロフルオロベンゼンや、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸などがありますが、黄色を呈します。
 
 人体に色素を入れる入れ墨は健康に害があるでしょうか?またその色素は特別の顔料でしょうか?色はブラック、ブラウン、白などがあります。
 残念ながら、入れ墨の色素については全く知りません。しかし、このような色素は生体の成分ではありませので、決して良くはありません。
 生体にその成分以外の物が侵入すると、生体はいろんな防御作用が働きます。可溶な場合は、肝臓に運び、分解しようとします。それは天然物、合成物にかかわらずその人の成分以外のものが侵入したときに働きます。風邪のウイルスが侵入すると、マクロファージやインターフェロンがウイルスをやっつけようとし、そのうち抗原抗体反応で抗体ができます。
 不溶(顔料など)な場合は、皮膚からできるだけ排除しようとします。細かいガラス片が刺さった時には、しばらくすると外にでてきます。
 それでもだめなときは、包み込んで、生体とは接触しないようにします。入れ墨の場合は、包み込むと思います。皮膚に傷を付けますので、傷を修復するために細胞が増殖しますが、その時に顔料を包みます。
 皮膚に色を着ける習慣は、南米の人たちによくあります。その場合は天然色素を使いますが、これは現在食用色素として使われる物もあります。彼らは、しかし、入れ墨のように皮膚に傷を付けることはしないようです。
 
 顔料が分解するとNOxが発生することがありますか
 顔料、染料の種類によります。
 一般的に、赤や黒などは窒素原子を含んでおりますので、可能性があります。しかし、染料や顔料は着色しているので存在感は大きいですが、量的には少ないのであまり多量に発生することはありません。
 主成分が何であるかが、重要と考えられます。
 
 色素が退色しやすい理由と退色を防ぐ方法を教えてください。
 色素は光を吸収します。光を吸収すると、光反応が起こる場合があります。光反応が起こると、物質は分解してしまうので、退色します。
 あまり強い光を当てないことです。特に紫外線が当たると、光反応が起こり退色します。
 紫外線が当たらないように、紫外線よけのフイルムを貼るといいでしょう。
 

   
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