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    いろいろな質問(色素その1)
   
 青色1号(Brilliant Blue FCF)や食用黄色5号(Sunset Yellow FCF)には、FCFと記載されていますが、このFCFがどのような意味なのですか?
 「FCF」は、この色素を最初に作った人が勝手に付けたもので、化学的には意味のないものと言われています。For Coloring Food(食品のための色素)とも言われていますが、はっきりしていません。「青色1号」の英語の一般名が(Brilliant Blue FCF)と考えてください。
 
 先日おやつに調理しましたブルーベリー蒸しパンが、海藻のような緑色に変色してしまいました。イチゴジャムでは変色は見られませんでした。市販のブルーベリーパンやブルーベリータルトのイメージでおりましたのに、がっかりしました。なにか考えられる原因はありますか?
 生地はホットケーキミックスを使用し、卵・牛乳・ブルーベリージャムをミックスし、スチームコンベクションで蒸しました。
 ブルーベリーの色はアントシアニンという色素で、酸性、アルカリ性(pH)で色が変わります。「海藻のような緑色」に変色したのは、アルカリ性のためでしょう。
 成分のなかで疑わしいのは卵です。卵は中性からアルカリ性で、割ってしばらく置くとアルカリ性が強くなります。
 解決法は、市販の「pH調整剤」を加えるか、添加物がお嫌いなら「レモン汁」(成分はクエン酸)を加えてください。レモンは酸性ですので、アルカリ性を中性や酸性に変え、色が復活するでしょう。
 「蒸しパン」ですので、「ベーキングパウダー」か重曹(ふくらし粉)を加えているのでしょうか?あまり多く入れると、やはりアルカリ性になります。また、「ブルーベリージャム」も添加物の入っていないものを使いましょう。
 
 食用色素で青色に着色を考えておりが、耐光性がよいと言われているブリリアントブルーFCFで試験の結果、溶液の成分である塩化銀(飽和)の存在下、太陽光が当ると、非常に短い期間で退色することが分かりました。これはやはり塩化銀の光反応が関係しているのでしょうか。
 塩化銀などの銀イオンは光に対して最も反応しやすいものです。
 一般的には、光が銀イオンに当たり、還元されて銀ができて、塩素ができると考えられます。塩素は漂白剤にも使われますので、塩素が色素と反応して脱色したと考えればいいでしょう。カラー写真では、カプラーが反応して色素ができますが、もし色素が存在すると脱色されます。
 塩化銀の光反応が起こっても色素が退色しないシステムにするには、塩化銀と色素を分離する必要があります。たとえば、塩化銀か色素の一方または両方をカプセルにする方法です。塩化銀の光反応を利用するシステムでは、色素をポリマーでコーティングするか、水に溶けない顔料を利用する方法がいいでしょう。
 少し違うシステムですが、紫外線吸収剤の酸化チタンは光反応で皮膚に障害を与えるので、ガラスでコーティングされています。光反応しても、生体成分と接触していませんので、問題が起こりません。最近、銀を繊維にコーティングしたものがありますが、銀は酸化されて黒くなりますので、ポリマーでコーティングしています。また、CD-Rの反射材として銀が優れているのですが、酸化されやすいので高価な金が使われていました。しかし、銀のポリマーコーティング技術ができて、再び銀が使われるようになってきました。
 ご質問の回答にはなっていないかもしれませんが、何かのヒントになれば幸いです。
 
 UV照射した時に色(無色→茶色、青)が着く材料が欲しいのですが、どのような材料、条件が必要となってくるか教えて頂けないでしょうか。
 光が当たって色がつく色素は「感光色素」です。
 感光色素には、(1)光で色が永久的につくものと、(2)別の光や熱を加えると元の無色(色)に変わる可逆的感光色素とがあります。
 (1)光で色が永久的につくものは、光で反応して色素ができるもので、配線板のフォトレジストに加えて反応が確認できるようにしたりする応用があります。また、光でプリントする非銀塩写真としても使われます。この材料として、光が当たって色が着くネガ型と、光が当たって色が消えるポジ型があります。色素やロイコ色素が光で反応するものと、顕色剤が光で反応してロイコ色素と反応し色が出るものがあります。
 (2)可逆的感光色素はある波長の光で色がつき、別の波長の光で元に戻るものです。パラソルに印刷しておき、天気が良いと模様が出て日傘になり、雨が降ると模様が消えて雨傘になるものがあります。 
 
 顔料について2点お聞きしたいことがあります。
 1.顔料は粒子を分散させたものですが、粒子の沈降等防ぐためどのような工夫をされていますか?
 2.同じ顔料を同量添加しても色目が違うことがありますが、どうしてでしょうか?
 (1)粒子の沈降を防ぐには2つの方法があります。1つはラテックスのように表面に荷電を持たせる方法で、もう1つは粒子を小さくする方法です。表面に荷電があると静電反発により粒子は会合しないので、沈降しません。表面に荷電を持たせるには、粒子を作る段階で、界面活性剤を混ぜます。
 (2)色目の違いは、顔料粒子の大きさの違いだと思われます。顔料を塗ったときには、顔料からの反射と、基材からの反射の割合を考える必要があります。同じ顔料を同量添加したわけですから、粒子が大きい(または分散が悪い)と、基材からの反射の割合が大きくなります。粒子が小さくて均一に塗布されていれば顔料からの反射が強くなります。しかし、粒子があまり小さいと(光の波長よりも小さい物が含まれる)、顔料からの反射が少なくなり、色が薄くなります。
 
 顔料(Cyan)を含んだ粒子を作製したときに、小さい粒子は薄く色づいている(水色)のに対し、大きな粒子では色が濃く見える(群青色)のは何故ですか。小さい粒子は散乱が強いからでしょうか。
 板の表面に顔料を全面に塗ると、青を反射して青く見えますが、その強さを100とします。大きな粒子(光の波長より十分大きい)では、粒子の隙間を除いて青を反射しますので、80%ぐらいですかね。
 粒子が小さくなると、隙間の割合が多くなるので、反射は減って50%ぐらいになり、色が薄くなります。
 粒子がもっと小さくなると、光の波長よりも小さい物が増えますので、青の反射はますます少なくなり、10%ぐらいになり、色はますます薄くなります。光の波長より小さい粒子は光を反射しませんので、透明です。
(%の数字は正確ではありません)
 

   
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