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厚生労働省の食品、添加物等の規格基準 (昭和三十四年十二月二十八日、厚生省告示第三百七十号)によると次のように記載されています。
17.色価測定法
色価測定法は,吸光度を測定することにより,着色料中の色素濃度(色価)を測定する方法である。通例,色価は,着色料溶液の可視部での極大吸収波長における吸光度を測定し,10w/v%溶液の吸光度に換算した数値()で表す。
操作法
別に規定するもののほか,次の方法による。ただし,吸光度の測定には,検液の吸光度が,0.3〜0.7の範囲に入るように調整したものを用いる。
別に規定するもののほか,表示された色価により,表に示される試料の量を精密に量り,メスフラスコに入れ,別に規定する溶媒約10mlを加えて溶かし,更に溶媒を加えて正確に100mlとし,必要があれば遠心分離又はろ過し,試料溶液とする。この試料溶液を吸光度測定用の検液とし,必要があれば表に示される希釈倍率に従って正確に希釈する。
別に規定するもののほか,検液を調製した溶媒を対照とし,別に規定する波長で液層の長さ1cmでの吸光度Aを測定し,次式により色価を求める。色価の測定は,調製後の退色による影響を避けるため,検液の調製後,速やかに行うものとする。
色価=((10×A×F)/試料の採取量(g))
ただし,F:測定吸光度が,0.3〜0.7の範囲に入るように調整するための希釈倍率 |
色価
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測定濃度(%)
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吸光度
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希釈方法
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希釈液量(ml)
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F
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20
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0.25
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約0.5
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0.25g→100ml |
100
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1
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50
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0.10
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0.5
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0.1g→100ml |
100
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1
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100
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0.05
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0.5
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0.5g→100ml→10ml→100ml |
1,000
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10
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200
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0.03
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0.6
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0.6g→100ml→5ml→100ml |
2,000
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20
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400
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0.015
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0.6
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0.3g→100ml→5ml→100ml |
2,000
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20
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500
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0.01
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0.5
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0.2g→100ml→5ml→100ml |
2,000
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20
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700
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0.01
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0.7
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0.2g→100ml→5ml→100ml |
2,000
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20
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800
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0.00625
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0.5
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0.25g→100ml→5ml→200ml |
4,000
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40
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900
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0.0045
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0.45
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0.2g→100ml→5ml→200ml |
4,000
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40
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1,000
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0.006
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0.6
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0.3g→100ml→5ml→250ml |
5,000
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50
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1,500
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0.003
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0.6
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0.4g→100ml→5ml→50ml→5ml→50ml |
10,000
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100
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2,000
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0.003
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0.6
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0.3g→100ml→5ml→50ml→5ml→50ml |
10,000
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100
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2,500
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0.002
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0.5
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0.2g→100ml→5ml→50ml→5ml→50ml |
10,000
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100
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:表の色価を超える場合は,希釈倍率を調整して測定する。 |
補足説明
規格・基準 |
説明 |
極大吸収波長における吸光度 |
吸収スペクトルの最も高い部分での吸光度(A)。 |
10w/v%溶液 |
w/v%は1g/100mlであるので、10w/v%は1g/10mlである。 |
0.3〜0.7の範囲に入るように調整 |
吸光度が溶液の濃度に比例する(Beerの法則)ためには、吸光度が0.3〜0.7の範囲にあることが必要で、あまり濃度が濃くても薄くてBeerの法則が成立しないため。 |
遠心分離又はろ過 |
溶液が濁っていると、光が乱反射して正確な吸光度を示さないため。 |
希釈方法 |
表に示されている「0.5g→100ml→10ml→100ml」とは、0.5gの色素を秤とり→100mlの水に溶かし原液とし→その溶液の10mlを別のフラスコに取り出して→そこに水を加えて100mlにする、ということです。これは、0.5gの色素を1,000mlの水(これが、希釈液量です)に溶かしたことと同じですので、1,000倍に希釈されています。 |
希釈倍率(F) |
ここではw/v%(1g/100ml)を基準にしているので、「0.5g→100ml→10ml→100ml」では、0.5g/100mlの原液が基準になっています。原液の10mlを取って→100mlに10倍に薄めているので、希釈率(F)は10になります。 |
色価=((10×A×F)/試料の採取量(g)) |
得られたA, F, gをこの式に入れて色価を計算します。式の中の10は、「10w/v%溶液の吸光度に換算」するためのものです。 |
化学物質の吸光度ではモル濃度(mol/l)で表されますが、天然色素などは純化学物質ではないので、重量%(w/v%)で濃度を表しています。簡単のために色素(g)を10mlに溶かして原液(1g/10ml)とすれば、
色価=(A×F)/試料(g)
となります。ただし、この場合の希釈倍率Fは1g/10mlを基準にした希釈倍率です。
ところで、色価を測定すればアントシアニンの定量分析ができるのでしょうか?
アントシアニンの定量分析としては、色価測定だけでは不十分です。純粋なアントシアニンの分子吸光係数(ε)が必要です。濃度(c)を変えて吸光度(A)を測定し、縦軸をA、横軸をcとしてプロットします。
すると、傾きはεdになりますが、dはセルの長さですから(普通は1センチ)、アントシアニンの分子吸光係数が求まります。したがって、A=εcdから、濃度cが求まります。 |
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