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   目の成分(補足説明)
   



 目や内臓などの組織の多くは、タンパク質繊維であるコラーゲンと糖質が結合したプロテオグリカン(PG) からできています。タンパク質部分に結合したムコ多糖鎖であるグリコサミノグリカン(GAG)にはいろいろな種類がありますが、いずれも分子量数万の直鎖状の硫酸化多糖鎖です。

コラーゲン
 身体のタンパク質の約4分の1はコラーゲンです。骨、皮膚、内臓などの構造を保つためには硬い組織と柔らかな組織が必要です。魚には骨があるので、魚の形を保つことができます。コラーゲンはこのような構造を保つタンパク質です。骨や歯などはヒドロキシアパタイトという無機の材料をコラーゲンに加えて、硬い組織にしています。また、皮膚にはヒアルロン酸を加えて、保湿性の柔らかい組織にしています。タンパク質にはαらせん構造やβ構造等がありますが、それでは硬くすることはできません。コラーゲンは3本のタンパク質が水素結合で結ばれて3重らせん構造になり、それが集まって強いコラーゲン繊維になっています。


ムコ多糖類
 ヘテロ多糖類の中で、動物の結合組織や体液中に存在するものです。

ヒアルロン酸
Hyaluronic Acid

[成分]
D-グルクロン酸,N-アセチル-D-グルコサミン
[由来]
皮下・眼の硝子体・関節液
コンドロイチン
Chondroitin

[成分]
D-グルクロン酸,N-アセチル-D-ガラクトサミン
[由来]
角膜・骨
コンドロイチン硫酸A
Chondroitin Sulfate A
(コンドロイチン4-硫酸)

[成分]
D-
グルクロン酸,N-アセチル-D-ガラクトサミン-4-硫酸
[由来]
軟骨
コンドロイチン硫酸C
Chondroitin Sulfate C
(コンドロイチン-6-硫酸)

[成分]
D-
グルクロン酸,N-アセチル-D-ガラクトサミン-6-硫酸
[由来]
軟骨
デルマタン硫酸
(コンドロイチン硫酸B)
Chondroitin Sulfate B

[成分]
L-
イズロン酸,N-アセチル-D-ガラクトサミン-4-硫酸
[由来]
皮膚
コンドロイチン硫酸D
Chondroitin Sulfate D

[成分]
D-
グルクロン酸-2 (or 3)硫酸, N-アセチル-D-ガラクトサミン-6-硫酸
[由来]
軟骨
コンドロイチン硫酸E
Chondroitin Sulfate E

[成分]
D-
グルクロン酸,N-アセチル-D-ガラクトサミン-4, 6-二硫酸
[由来]
軟骨
ケラト硫酸
Keratan Sulfate
(ケラタン硫酸)

[成分]
D-
ガラクトース,N-アセチル-D-グルコサミン-6-硫酸
[由来]
角膜・軟骨


 グルコサミンは、体内にあるアミノ酸の一種で、軟骨を作っている主成分の1つです。ムコ多糖の構成成分として、自然界にも広く分布し、カニ・エビなど甲殻を形成するキチン質に多く含まれています。

ヒアルロン酸

 ヒアルロン酸は、N―アセチルグルコサミンとグルクロン酸の2種類の単糖が交互に2糖単位で、何百または何千と直鎖状に連なった高分子です。関節や皮膚などの柔らかい部分に含まれ、鶏のトサカもヒアルロン酸です。ヒアルロン酸は高分子量ですが、硝子体中の濃度(約2 mg/ml)においてはゲル化せずどろどろの液体です。これは、細いコラーゲン線維の非常に希薄な網目構造により超吸水性樹脂のように硬くて柔らかくなっています。硝子体は、線維で強化された複合物である。その結果光路にはなるべく固形分が減少した状態になっています。細い(10 nmの)コラーゲン線維がコンドロイチン硫酸であるアニオン性GAGの橋渡しされて保持されています。コンドロイチン硫酸はコラーゲン繊維を結び付ける接着剤の働きをしています。

コンドロイチン硫酸
 動物の細胞・線維・組織・器官の間をしっかり結びつけて、それらの支持・保護・栄養補給の役目を果たしている組織を結合組織といい、その主要部分はムコ多糖体と呼ばれる粘性物質である。コンドロイチン硫酸はグルコサミンと同じようにムコ多糖体の重要な構成成分の1つです。
 コンドロイチン硫酸は、体内ではタンパク質と結びついてコンドロムコタンパクという形で、主に皮膚・血管壁・軟骨・靱帯・関節・眼球・角膜・粘液・各臓器に分布しています。


ヘパリン
Heparin
D-グルクロン酸, L-イズロン酸-2-硫酸,N-スルホ-D-グルコサミン-6-硫酸
 
ヘパリンはウロン酸とグルコサミンの繰り返し構造からなる酸性ムコ多糖類で、ウシ肺または ブタ腸粘膜などから作製され,分子量も約3,000-35,000と種々のものが混在します。
 それ自体に抗凝固作用はありませんが、生理的凝固阻止因子のアンチトロンビンによるトロンビン, Xaなどの不活性化作用を促進します。

 
       

 
   
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