トマトは赤いですが、砂糖は色が着いていません。トマトにはリコピンという物質が入っていて、それが赤い色をしているのです。このようなリコピンのように色の着いた化合物が色素です。
リコピン(lycopene)
|
染料とは水に溶ける色素で、繊維の染色や水性インキなどに使います。水に溶けない色素は顔料と呼ばれ、ペンキやプラスチックの着色などに使います。ペンキには顔料とポリマー(プラスチックの成分)が入っていて、乾燥すると顔料が含まれたポリマーの膜ができます。
赤い染料を水に溶かすと、色素の分子は一個ずつバラバラになります。これを白い紙に塗ると、色素分子が紙のセルロースに吸着し、赤いセルロースになり、赤く見えます。顔料は水に溶けない色素なので、水に分散した状態になります。色素の分子が集まって小さな粒子になっています。これを紙に塗ると、粒子がセルロースに吸着して、やはり赤く見えます。
染料は分子の状態で紙に吸着するのに対して、顔料は分子が集まった粒子の状態で紙に吸着しているのです。この違いは顕微鏡で見れば分かりますが、肉眼では顔料の粒子は見えないので、どちらも赤く見えるのには違いはありません。しかし、色の鮮やかさなどには違いが見られます。顔料は水に溶けないので、赤く塗った紙に水をかけても溶けない長所があります。
|